今回は、この秋開催しましたワークショップと、学会発表についてご紹介します。
■「おしごと」ワークショップ実施
2015年10月18日、大阪のハルカス大学(あべのハルカス23階)において、
NPO法人学習開発研究所 × ワークアカデミー
中央職業能力開発協会「職業能力評価基準」を活用した実務能力育成ワークショップ
「社会で活躍するための 「おしごと」ワークショップ」
~「情報を実践的に活用し創造する力」を学ぶ~
を開催しました。このワークショップにおいて、NPO法人学習開発研究所と(株)ワークアカデミーはこれまでの共同研究で開発した教材を用いて、学生が仕事を体験できる新しい学びの場を実践しました。

ワークショップは5名の大学生が参加しました。仲間とコミュニケーションをとりながら、熱心に取り組む姿が印象的でした。
さて、このワークショップの「学びの場」、どのように新しいのでしょうか?開発した教材と実施した授業には、主に4つの特徴があります。
(1) 学生が「情報」を活かした仕事を体験できること
情報を活用する力が業務の現場でどのように必要とされているのか、を「おしごと」を体験しながら知ることができます。おしごとは個人ワークとグループワークがあります。
(2) JAVADAの職業能力評価基準の行動基準を参照にして設計していること
これまでの研究で、JAVADAのいくつかの職種・職務の行動基準から、情報を活かす力やICTスキルを必要とする項目を抽出し、体系的にとりまとめています。その結果を仕事内容や職種別仕事カードなどの教材制作に活用しています。今回の仕事内容は、「事務系職種」「広告制作職種」「ウェブデザイン・コンテンツ職種」3職種の新入社員(職能レベル1)を採り上げました。
参考:中央職業能力開発協会(JAVADA) 職業能力評価基準
(3) 学生が楽しく動機を持って能動的に学ぶための仕組みを用意していること
この学習は農場拡大シミュレーションゲーム「ヘイ・デイ」をイメージし、協働しながら能力ポイントを獲得していく仕組みを取り入れています。学生は取り組みたい「おしごと」を自分自身で選び、学習のしおりや仕事別ガイドブックを使用しながら、仲間とともに仕事に励むことができます。アクティブラーニングの導入を検討されている大学、教員の皆様にお勧めしたい仕組みです。
(4) 学生が学習後に自ら能力をチェックできること
仕事を行った後に、学生は振り返り用の能力チェックシートに記入することで学習成果(学習到達度)を知り、自分の強み、弱みを知ることができます。能力チェックシートの項目は前出のJAVADAの行動基準と、教育工学理論の「ガニェの学習成果の5分類」を参照して作成しています。アクティブラーニング型授業の中で、学習評価にどう対応していくか、を課題としている教員の皆様にぜひともご紹介したい取り組みです。
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■日本教育実践学会にて報告しました!
「おしごと」ワークショップの教材の設計内容と、ワークショップ実施時の様子について、2015年10月25日、上越教育大学で開催された日本教育実践学会第18回研究大会においてご報告いたしました。当日、聴講してくださった複数の先生から有用なご意見をいただきました。感謝申し上げます。

ワークショップ実施結果の詳細な分析、考察については、今後開催される学会でご報告する予定です。また、その結果を踏まえ、教材の改善と拡張を行い、大学教育、社会人教育の現場にご提供したいと思っております。「学びのデザイン」を創り出すこの取り組みに、ぜひ今後もご注目ください!
(執筆者:福田)